【ご質問】
新興宗教に入信した社員が、同僚や部下にしつこく勧誘して困っているという
相談を受けました。しつこく勧誘された社員の中には、会社を辞めたいと言っ
てきている者もおります。
会社も何度か、この社員に勧誘行為を控えるよう注意しましたが、「休憩時間
に宗教の勧誘を行うことは憲法で保障されているのだから、会社は制約するこ
はできない」と開き直っています。
本当に、会社は、このような宗教の勧誘行為を制約できないのでしょうか。
また、この社員を解雇することは可能でしょうか。
【回 答】
会社は、職場内の秩序を維持する権限がありますので、社員が宗教活動を行
う自由があるという理由から、職場内での宗教活動を認めなければならない
義務はありません。
宗教活動に関する判例ではありませんが、似たような政治活動に関する判例
で、職場内での政治活動は、休憩時間中に行われる場合であっても、他の社
員の休憩時間の自由を妨げ、休憩時間後の作業能率を低下させる可能性があ
るなど企業秩序を乱す恐れがあることから、会社内で政治活動を行った社員
に対する戒告処分を有効としています。
従って、この判例に基づいて判断すると、たとえ宗教勧誘の行為が休憩時間
内に行われていたとしても、当該勧誘行為をしている社員に対して、戒告の
懲戒処分を行うことは可能であると言えます。
しかしながら、宗教の勧誘を行ったという事由だけでは、解雇の客観的かつ
合理的な理由及び社会的相当性の条件を満たす基準に至らないため、この社
員を解雇することは難しいでしょう。
ただし、会社が注意しているにも関わらず改善が見られない場合については、
譴責、減給、出勤停止といった懲戒処分を段階的に行い、会社が教育指導を
きちんと行ったという実績を残した上で、解雇を検討する形が良いかと思い
ます。
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