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【人事労務相談Q&A】行方不明の社員の対処法



【ご質問】

以前より仕事に対する姿勢に問題がある社員が先週の金曜日より連絡が取れなくなってしまいました。
会社に置いてあった私物を全て持ち帰ってあったので、そのまま辞めるつもりのようです。

携帯も解約しており、本日営業のものが自宅まで行ってみたところ、住んでる気配はあるけれど、不在のようで連絡が取れません。

こういう場合、退職や解雇の手続きをしてよいのでしょうか。

【回 答】

行方不明になってしまった社員には、慎重な対応が必要となってきます。
まず確かめなければならないのは、何故その社員が会社に何も言わず行方を暗ましたかということです。

メールの内容では、会社に置いてあった私物を全て持ち帰り、携帯も解約したということですので、本人から口頭又は退職願による退職の意思表示はありませんが、もはや本人の中で勤務に戻る意思がなく辞めるという判断がついていると解釈することができます。

しかしながら、すぐに退職の手続きをすることは軽率です。
その前に、会社側のきちんとした対応が求められてきます。

その対応策として、本人に電話連絡をし、繋がらない場合は自宅を訪問し、出勤を促す書面を内容証明郵便で送ったなどの行為を何度か繰り返し、あらゆる努力をしたという事実を日付や時刻と共に記録として残しておいてください。

続いて、御社の就業規則の条項に基づいて、その社員の処分を決定していく必要があります。

御社の就業規則を拝見したところ、退職に関する規定には「行方不明となったことを知った日から1カ月を経過した場合」及び懲戒解雇に関する規定には「正当な理由なく無断欠勤連続14日以上に及んだ場合」と記載されています。

従って、まずは退職規定に基づき、1カ月を経過するまで様子を見て、1カ月が経過した時点で、黙示の労働契約の解約の意思表示があったと判断して退職の手続きをするのが良いでしょう。

「そんな問題社員は退職ではなく解雇にしたい」と考える経営者の方も多いかと思いますが、行方不明になった社員を解雇する場合、解雇を直接本人に伝えることが困難なため、正式な法律上の手続きである公示送達という方法により解雇の意思表示をすることになります。

しかし、その方法は手続きが面倒なため時間と労力を要しますので、退職扱いにすることをお勧めします。

ただし、行方を暗ました社員が「辞めるという意思表示をしていない」と後々言ってきた場合、御社がきちんとした対応をしていれば、その社員を即時解雇することができます。

御社が就業規則を社員に周知しているのであれば、その社員は就業規則の退職規定及び懲戒規定の内容を理解しているはずですし、会社は、その社員の出勤を促すために、あらゆる努力をしてきたという事実と、その社員が無断欠勤し続けたせいで会社に迷惑をかけたという事実を証明できれば、本人に解雇通知をして即時解雇することは可能です。

しかし、即時解雇する場合には、解雇予告をしないため平均賃金30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

御社が解雇予告手当を支払いたくないのであれば、労働基準監督署で解雇予告除外認定を受けることができます。

ただし、労働基準監督署長が認められないと判断したときは、解雇予告手当を支払う必要がでてきますので、注意が必要です。


会社と従業員の幸せを第一に考え誠心誠意サポート 社会保険労務士 柳沢育太

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