今回は株式会社スターフェスティバルの代表、岸田祐介さんが「ごちクル」
を始めるまでのお話をご紹介したいと思います。

「ごちクル」は、ワンコインのお手軽なお弁当からミシュランガイドで星を
獲得した有名レストランのお弁当まで6500種類以上のお弁当を宅配する総
合モールサイトです。

多くのサイトは集客だけをサポートしていますが、ごちクルは、店舗ごとの
商品開発から注文の受注、配達までをまとめて担っています。宅配に対応し
ていない飲食店や製造工場に、デリバリーに必要な機能を提供することで、
お店に行かないと味わうことのできない料理をお弁当で楽しめるようになり
ました。

岸田さんは、大学で経営学部に入ったものの、授業に出たのは3日間だけで、
経営を学んだのはアルバイトをしていたカラオケ店だそうです。閉店後の午
前5時から昼までの間、お店の家賃と人件費を自分で負担することを条件に、
オーナーから営業の権利を譲り受け、お店の経営に携わりました。当時は、
深夜から早朝に掛けて営業しているカラオケ店が少なかったため、飲み屋で
働く人々が仕事帰りに立ち寄るなどして、お店は大盛況だったそうです。

次に岸田さんが就職したのは、輸入ハンドバッグの卸売会社でした。社内に
不要なブランドロゴ入りのショップ袋や箱などが積まれているのを見てもっ
たいないと感じた岸田さんは、上司の了解を得て持ち帰り、ヤフオクで売っ
てみたそうです。その結果、1カ月で給料の4倍以上の利益を得ることに成
功しました。当時ヤフーオークションが世間に広まってきていた時期だった
ので、岸田さんは「ヤフオクの構造を造ったのはどんな人たちなのか」とヤ
フーへの憧れで転職を試みたそうです。しかし、転職は叶わず、代わりに同
業他社の楽天に転職を決めました。岸田さんはITの知識がない中でも、め
きめき頭角をあらわし、在籍した6年間で、弁当配達のポータルサイト「楽
天デリバリー」を作り、プロ野球の楽天イーグルスの球団立ち上げにも参加
しました。

その後、30歳で退社し、1年後の2009年の会社設立までにレストランでの
修行や先輩起業家への相談を通して構想を固めました。最初はお弁当を
販売するワゴンを尾行して、弁当作りの仕組みを突き止めるなど徹底したリ
サーチを行ったようです。その仕組みを知った岸田さんは、店舗を持たない
弁当製造工場へ交渉し、インターネット上にそれぞれ架空店舗を作って販売
しました。取り扱い架空店舗数は100店舗まで伸び、さらに、弁当製造工場
からの提供のみならず、飲食店に弁当のデリバリー事業参入を呼びかけ、取
り扱い弁当数を増やしていきました。
また、飲食店には弁当を作ることに集中してほしいという考えから、ごちク
ル側が各飲食店に配送車を手配することを決めました。

そして今では、95％が法人利用で、売り上げを着々と伸ばしているそうです。
役員の会議や会社のイベントでの発注が多く、発注者である秘書や総務の方
による口コミでの認知度が上がりました。また、製薬会社1社の弁当の年間
予算が数億と言われているＭＲ業界での需要が大きく、病院で開かれる勉強
会での発注の割合の多くを占めているようです。

現在、弁当の受注は毎月１５万食のペースで増え、今後は全国展開を整備す
るとの発表がありました。普段敷居が高くて、なかなか行くことの出来ない
お店の味も気軽に家庭でも楽しめるので、ぜひ利用してみてはいかがでしょ
うか。

【ごちクルのホームページ】
http://gochikuru.com