皆さんは、鎌倉時代から江戸時代にかけて琵琶湖周辺を本拠地とし、天秤棒を担いで他国商いを行っていた「近江商人」をご存知でしょうか?
彼らは、どんな不況が訪れたとしても、乗り越えていくことができる企業集団を作り上げることに成功しました。
彼らの知恵や考え方には、「100年に1度の危機」と称される現在の大不況を生き抜くためのヒントが隠されています。
中でも、「三方よし」という考え方は、近江商人の経営哲学として多くの企業に影響を与えています。
現在も日本経済を支えている老舗企業、トヨタ、丸紅、伊藤忠商事、高島屋などは近江商人の流れを汲む代表的な企業です。
それでは、近江商人とはどんな集団だったのでしょうか?
彼らは、本拠地である近江から、天秤棒を担いで他国に赴き、麻布などの近江の名産品を売り歩いていたそうです。
商売が成功すると、その地域に店を出店し、現地の人の声に耳を傾け、需要の高い商品を全国から仕入れて商いを行っていました。
よそ者である近江商人が各地で受け入れられるためには、顧客や地域社会から信頼を得る必要があったので、彼らは売り手本位の商いを禁じていました。
このような経緯から生まれたのが、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という、彼らの経営理念である「三方よし」という考え方です。
売り手の都合だけで商いすることを禁じ、買い手が心の底から満足できるサービスを提供すること、さらに事業活動が地域社会の発展や福利の増進に繋がることまでを、彼らの使命としていました。
地縁や血縁を強く重んじる当時の環境下で、彼らが現地に溶け込んで商いを行うためには、地元の人の信頼を勝ち得ることが絶対条件でした。
自分たちの商いだけを考えていてはうまくいかないので、顧客や地域のメリットを第一に考え、「利他の商い」を実践してきました。
その結果、彼らは地元の人から信頼を勝ち取り、業績を伸ばすことができたのです。
また、近江商人の研究者、渕上清二氏によると、彼らは三方よしを実践することで従業員のモチベーションを高めることにも成功していたようです。
「商いを通じて他社に奉仕し、社会から求められ、頼られる存在になったことが、何よりも彼らの心の支えになっていた」と渕上氏は言っています。
顧客や地域社会を第一に考える利他の経営を貫くことで、組織も強くできることを近江商人は見抜いていたようです。
景気が悪いと叫ばれる現在、業績悪化からの危機打開策として新規事業分野への参入や海外への進出を検討している会社も少なくありません。
しかし、知名度も実績もない中で信頼を勝ち得ることは容易ではないはずです。
そのときに役に立つのが「三方よし」の考え方です。
「三方よし」はビジネスする上で当たり前の思想だと思われるかもしれませんが、実際は会社の利益追求を第一に考えてしまい、買い手や社会貢献に対する意識が希薄になってしまっている企業が多いように思います。
これを機に、近江商人の知恵や考え方を学んでみてはいかがでしょうか。
参照資料:日経トップリーダー2月号
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