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【人事労務相談Q&A】派遣社員のスキルが期待していた以上のものでなかった

【ご質問】

弊社では、文書の翻訳やエクセル等を使用して事務的作業を行ってもらうために派遣社員を受け入れました。

しかし、その派遣社員は英語のスキルもそれほどなく、エクセルやワードにおいても基礎的な操作しかできないため、弊社が期待していた人材ではありませんでした。

このままですと、業務に支障をきたしてしまうので、派遣元に事情を説明し、他の方に代えてもらうよう依頼することはで問題ないでしょうか。

【回 答】

今回のケースのように、派遣先が求めていた人材と派遣元が派遣する人材との能力のミスマッチによるトラブルは年々増えています。

事情を説明することで派遣元が快く他の人材を派遣してくれれば良いのですが、派遣元は派遣先で拒否された派遣社員について、就業場所の確保又は賃金補償を契約期間中行う義務がございますので、簡単に派遣先の申し出を受け入れてくれるとは考え難いのが現状です。

しかし、派遣元は、派遣先と派遣元との間で締結した労働者派遣契約の「派遣労働者が従事する業務の内容」を遂行できる能力を有している人材を派遣先に派遣する債務を負っていますので、このような能力に満たない人材を派遣した場合、派遣元は契約で定められた債務を履行できないことになりますので、契約違反となります。

従いまして、明らかに契約内容の基準に満たない人材を派遣元が派遣してきた場合については、派遣先は派遣元に対して完全履行請求権を有していますので、契約内容に沿った人材を再度派遣するよう請求することができます。

ただし、労働者派遣契約の「派遣労働者が従事する業務の内容」が「翻訳業務及び文書作成」など具体性に欠ける記載内容であれば、派遣先が望む人材が派遣されなかったとしても、派遣元が翻訳や文書作成がある程度できる人材を派遣していれば、派遣元の債務不履行とはなりません。

今回のケースでは、例えば「契約書、資料、メールなどの英文和訳作成業務と付随業務。ワードによる文書作成、エクセルによる表及びグラフ作成・関数の入力、TOEIC800点以上の能力を必要とする」など契約書に具体的かつ明確な業務内容及びその業務を遂行するための能力についての記載があれば、派遣元がTOEIC800点未満やエクセル・ワードをまったく使えない人材を派遣してきた際に、派遣元は契約で定められた債務を履行していないことが明瞭といえますので、派遣先は他の人材を派遣するよう派遣元に要求することができます。

上記の内容を踏まえて、労働者派遣契約を締結する際には、「派遣労働者が従事する業務の内容」及び「その業務を遂行するための能力」について、具体的かつ明確に規定しておくことが必要となってきます。

また、契約で定められた能力に満たない人材を派遣してきた際には、他の人材を請求することができる旨の規定を契約書の中に盛り込むことで、今回のようなトラブルを未然に防ぐことができます。

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会社と従業員の幸せを第一に考え誠心誠意サポート 社会保険労務士 柳沢育太

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