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【パワハラ】とならないための企業対応策(2)



今回は、パワハラの具体的な裁判例及び企業の取り組みについて解説していきたいと思います。

まずは、具体的な裁判例を見ていきましょう。

1.川崎市水道局事件
(横浜地裁川崎支部平成14年6月27日判決・労判833号61貢)

この事件は、上司が職員Aに対して以下のいじめを行い、自殺まで追い込んだ事案です。

(1) 内気な職員Aに対して、「もう少し聞こえるように話してくれよ」と言ったり、聞こえよがしに「何であんなのがここに来たんだよ」と言っていた。

(2) やや太り気味の職員Aに「(元オウム真理教教祖の麻原死刑囚をもじって)むくみ麻原」や「ハルマゲドンが来た」などと言って嘲笑した。

(3) 合同旅行会の懇親会で、果物ナイフを振り回し、「今日こそは刺してやる」と職員Aを脅し た。

(4) いじめの事実を知りながら上司である工業用水課の課長は、組合等の調査があった際も、事 実を隠ぺいしようとした。

(5) パワハラの相談を受けた職員課の課長も、速やかな事実調査や防止策等の対策を講じなかっ た。

以上の事実を踏まえて、裁判所は違法と判断し、2345万円の損害賠償を命じました。

この裁判例で注目すべきは、悪質ないじめ行為があったという事実以外に、部下へのいじめについて、管理監督者が適切な防止策などを行わず放置していたことの監督責任が問われているところにあります。

それでは、次の裁判例を見ていきましょう。

2.三井住友海上火災保険上司事件
(東京地裁平成16年12月1日・労判914号86貢、東京高裁平成17年4月20日・労判914号82貢)

上司が部下の課長代理に対して、指導や叱咤督促目的で、メールを送付したことが争点となり、違法性が認められた事案です。

メールの内容は、「意欲がない。やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います。当SCにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績を挙げていますよ」というもので、課長代理だけでなく、同じ部署の従業員数十名に対しても同じ内容のメールを送信しており、その内容は、赤色の大きな文字で強調されていました。

一審では、本件メールが業務指導の一環として行われたものであり、パワハラの目的があったとは認められないとして違法性を否定しましたが、二審ではメールの内容は表現として許容範囲を超えており、課長代理に対して精神的苦痛を与えたとして損害賠償請求(慰謝料5万円)が認められました。

一審、二審で判断が分かれていることからも、パワハラか否かについて、非常に判断が難しい事案であることは確かです。

しかし、メールの表現がストレートで嫌がらせに近い内容であったという以外にも、大勢の従業員に同じ内容のメールを送信していることもあり、課長代理の人格や名誉感情を害する行為となったことが決め手だったように思います。

指導や注意を行う際には、他の従業員の目のつかない環境で行うことが重要となってきます。

以上、2つの事案を見てきましたが、教訓としていえることは、行き過ぎた言動、監督不行届き、そして、相手への配慮不足などがパワハラにつながるということです。

会社が組織で動いている以上、上司は部下を徹底的に教育指導し、育成する義務を負っているのが当然としてありますが、その指導教育が許容範囲を超えてしまうと、パワハラに発展してしまうリスクがあります。

従って、今後、パワハラ行為だと指摘されないように、会社は以下の取り組みを行う必要があります。

1.パワハラに関する教育・研修の実施

まず、従業員に対しては、職場のいじめなど行き過ぎた行為はパワハラになり、懲戒処分の対象になることを教示し、そして、管理職については、部下の教育指導方法や監督責任について研修を実施することが重要です。

2.相談窓口の設置

本来、管理職はパワハラが起きないよう指導教育する立場にありますが、管理職が加害者の場合、被害者である部下は誰に相談してよいかわかりません。

このようなことがないように、直属の上司以外のルートなどで相談窓口を設ける必要があります。

被害者は、通報した事実が発覚することを恐れていますので、匿名であっても通報を受け付ける、通報しても不利益な取り扱いは行わないなど、徹底したルールづくりが必要となってきます。

内部通報の体制がきちんと整っていないと、外部の弁護士に相談し、訴訟になるケースも少なくありませんので、その辺のリスクを軽減するためにも、相談窓口の設置など従業員が安心して働くことができる風通しの良い職場環境づくりを実現する必要があります。

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